「がんばらないでがんばる」


○ 「がんばる」に代わる言葉を探し来て ついに見つけた「がんばらないで……」(^.^)



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ゆうさんごちゃまぜHP「狂歌教育人生論」        2012年11月16日(金) 第 148号


 いよいよ秋も深まって参りました。我が実家は大分の内陸にあるので、九州にありながら北陸・東北のような気候です(^.^)。
 散歩コースにある小さな神社の紅葉・黄葉はすでにかなり散ってしまいました。

 ところで、本日衆議院が解散、来月総選挙となりました。うそつき解散とか暴走解散、バカ正直解散などと呼ばれているとか。そこに某元都知事も参戦するようです。
 誰も言わないので、私が書きますが(^_^;)……中国の反日デモ――日系店舗打ち壊し騒動はやっとおさまったものの、両国に深い傷をもたらしました。
 幸いなことは日本人にさほど報復感情が芽生えなかったことで、横浜中華街が打ち壊しにあうなどということはありませんでした。

 私が問題にしたいのはこの日中対立の端緒をつくった人のその後です。彼は「尖閣国有化」発言の責任をどう考えているのでしょうか。それについて口をつぐんだまま、わずか1年半で知事職も放り投げました。結果、また数十億の税金を使って都知事選をやらねばなりません。とんでもない暴走老人なのに、それをもてはやす人たち、マスコミもどうかなあと思います。

 も一つ(こちらも言う人が少ないので、私が書きますが(^.^)、最近「政治が悪い、無能な政治家が多い」と批判したり、嘆く言葉をよく聞きます。けれども、その政治家を選んだのは誰なのか……と考えると、結局、批判の言葉は私たちに返ってくるようです。
 総選挙ではぜひ「有能な選挙人」であってほしいものです。

 とは言え、我がメルマガの本旨は「人を明るくする」話題を、できるだけ多く提供することにあります(^_^)。よってこの件について深く語る気はございません。

 今号は先月日本テレビで放映された「世界の果てまで行ってQ」――イモトさんのマッターホルン登頂について語ります。

 アルプスの角(つの)と呼ばれるマッターホルンの雄姿。ナイフの刃のような尾根、ほぼ垂直の断崖。朝日を受けて金色に輝く山肌……絶景でした。いまやアスリート芸人のイモトさんがその断崖絶壁を登る様は見ているこちらの足がすくみました。彼女の腕力・足腰・体力・精神力はすごいものだと、久しぶりに感動を覚えました。

 ただ、この番組で私がもっとも惹かれたのは登場人物のある言葉でした(^_^)。

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 (^_^)本日の狂短歌(^_^)

 ○ 「がんばる」に代わる言葉を探し来て ついに見つけた「がんばらないで……」(^.^)

 (^O^) ゆとりある人のための10分エッセー (^O^)

 【 がんばらないでがんばる 】

 この狂短歌メルマガを初めの頃からお読みの方は、私が「がんばる」について何度か書いたことを覚えていらっしゃると思います。

 最初は2005年の第51号【励ましの言葉】です。狂短歌は《「がんばって」「がんばります!」の言葉より、言い交わしたい「楽しみます!」》でした。

 その内容は「がんばる」の言葉にはどうも緊張感がありすぎて好きな言葉ではない。英語の「ドゥーマイベスト」もイマイチ。かねがねそれに代わる言葉はないものかと探していた。すると、当時米ゴルフに挑戦する宮里藍選手が「がんばってください」と言われ、しばしば「はい。楽しみます」と答えているのを見聞きした。これはいいなと思って「楽しんでください!」「楽しみます!」を言おうではないか――といった趣旨でした。

 このメルマガ51号は私の全メルマガの中で、毎年読者閲覧数ベスト3に入っています。
 その数字を見るたびに、みなさん同じような異和感を「がんばる」に対して感じているのかなあと思っていました(^_^)。

 その後2010年の第120号【バンクーバー90点の涙】においても再度この件を取り上げました。
 当時はバンクーバーオリンピックの最中で、フィギュアの浅田真央選手が金メダル最有力候補として期待されていました。
 結果は韓国キムヨナ選手に敗れて銀メダル。真央ちゃん、悔し涙をぼろぼろ流していました。

 そのとき私が詠んだ狂短歌は《満点を取ろうとすればミスが出る 90点の軽い気持ちで》でした。彼女が開始前「100点満点を取らなければ、キム選手に勝てない」と思ってがちがちに緊張しているように見えたからです。対してキムヨナ選手は90点を取ればいいと気楽に滑った。彼我の心境の違いは歴然で、滑る前から結果は見えていたような気がしたものです。
 それでも90点を出した真央選手はさすがで、我ら凡人には90点も無理。80点を狙ってがちがちになるくらいだから、文章の最後に狂短歌をもう一つ追加しました。《80点取ろうとすればミスが出る 60点の軽い気持ちで(^.^)》と。

 その試合開始前、日本人記者が浅田選手にインタビューして、
「全国民が期待しています。がんばってください」と激励します。
 対して彼女は「はい。がんばります」と答えていました。
 私はそれを見ながら「おいおいもうちょっと別の言い方でけんのかい」とつぶやいたものです。
 すでにがちがちの人をもっと緊張させ、さらにプレッシャーを与えてどうするんやと。

 しかし、この年面白いと思ったのはゴルフの宮里藍です。彼女は同年米ツアー開幕2連勝と絶好調でした。そして、日本の開幕戦に出場して「開幕3連勝」が期待されました。
 結果は残念ながら7位でしたが、彼女は前日インタビューで「3週連続優勝目指してがんばってください」と言われたとき、「楽しみます」ではなく「はい。がんばります」とあっさり答えていたのです(^_^)。

 私はなるほどなあと思いました。彼女の「楽しみます」は「がんばる」にこめられたプレッシャーと緊張から逃れるための言葉だったのだろうと。そして、練習や実績によってその言葉からもはや無用のプレッシャーを受けなくなったとき、気軽に「がんばります」と答えられるようになった――そう解釈しました。

 そこで私は相手を見て「がんばって」と言ったり「楽しんでね」と使い分けるのがいいのではないかと思いました。
 プレッシャーを痛いほど感じそうな人に対しては「60点でいいから気軽に楽しんで」と声をかける。
 逆に堅実・着実派でプレッシャー無縁の人に対しては「がんばって」と言って励ます――それが当時の結論でした。

 こうした流れを経てその後思ったことは……
使い分けしなければならないのはめんどくさいな」でした(^.^)。

 そもそも声をかける相手がどちらの心理状態にあるのか――本番を前にして緊張しているのか、別にプレッシャーなど感じていないのか。その見極めが難し過ぎます。
 緊張しているように見えて緊張していなかったり、「大丈夫、大丈夫」などとすました顔でいるので「がんばれよ」と言ったら、後で「実はあのときかなり緊張していたんだ」と告白されたりとか。

 あるいは、へらへらしているので、もっとプレッシャーを感じてやれと言いたいときには、「がんばらんかい」と叱咤激励したくなります(^_^)。
 人によって緊張度、プレッシャーの感じた方はさまざまです。やっぱり全てに共通するような「がんばる」がほしいと思いました。

 そんなときイモトさんのマッターホルン登頂映像を見たのです。そして「これだ!」と思える言葉に出会いました。

 それはいよいよ明日登頂開始という日、彼女が登山の師と仰ぐ日本人登山家角谷(かどや)道弘さんに電話したときです。
 同氏はイモトさんが番組企画で始めた本格登山を最初から指導した登山家でした。しかし、今年初め滑落して負傷、今回のマッターホルン登頂企画には参加していませんでした。
 イモトさんは角谷氏にマッターホルンに挑むプレッシャーと緊張を吐露しました。
 そのとき角谷氏はいろいろ語った後、最後に「がんばらないでがんばってください」と言ったのです。
 私は「これだっ!」と思いました(^o^)。

   この言葉には「がんばる」が持つ緊張感とプレッシャーがありません。「がんばらない」のですから(^_^;)。
 かと言ってしっかりした激励の言葉でもあります。「がんばって」と言っているのだから。
 つまり、無用な緊張はしない。プレッシャーも感じなくていい。でも、がんばるときにはがんばる――みたいなニュアンスが感じられます。「これは絶妙の言葉だ」と思いました。

 しかも、この言葉なら解釈は受け取る側にあります。がちがちに緊張している人は「ああ、がんばらなくていいんだ」と思って心に余裕ができる。緊張感が欠けた人なら「もうちょっと踏ん張ってがんばるか」と感じるでしょう。声をかけるこちらとしても、しっかり激励しています。
 「がんばらないで、がんばって」――これこそ激励の言葉として最高ではないでしょうか(^_^)。

 もっとも、その言葉を聞いた当のイモトさんがどう感じたか。
 番組では「何それ?」みたいな顔だったかと思います。

 それでも、難所に来て「もうダメ」と何度もつぶやきながら、最後まであきらめずに登頂を完遂した。それは程良く緊張して程良くがんばったからではないか、と思います。

 えっ?「程良くがんばったのではなく、相当がんばったんだと思うよ」ですって?
 確かに、あのがんばりはものすごかったですよね(^_^;)。

 それはさておき、これからは激励の言葉として「がんばらないでがんばって」を、どんどん使おうではありませんか(^_^)。


 ○ 「がんばる」に代わる言葉のベストワン「がんばらないでがんばって!」


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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:これをもって「がんばる」論は終わりにできそうです。もうこれ以上はないでしょう(^.^)。(御影祐)



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