『続狂短歌人生論』65 どんでん返しの《理屈》その1


○ 統合の人格 それは人間の 理想の姿というわけでなく……


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ゆうさんごちゃまぜHP「続狂短歌人生論」   2024年05月22日(水)第65号


 『続狂短歌人生論』65 どんでん返しの《理屈》その1

 前3号は「統合の人格」を目指すにあたって最善、次善、三善の策を提起しました。
 これは下書きの結末をほぼそのまま転記したものです。
 どうでしょう。「よくわかった」とつぶやいたか。読み終えて「確かにその通りだ。統合の人格を目指そう」と思えたか。
「うーん。イマイチしっくりこなかった」のでは、と推察します。

 脅迫・批判、傍観・受容に分かれた各タイプが四つを統合させる「統合の人格」を目指そう――この主張に反対する人は少ないと思います。「確かにその通り」とつぶやく。だが……(ともやもやした気持ちがわく)。

 そのもやもや感こそ《感情》です。人の話を聞いたとき(文章を読んだとき)、「そうですね」と同意するのは反論できない理屈が語られていることが多い。
 理屈は了解できるけれど、何かが受け入れたくない気持ちにさせる。喉元にとげが引っかかってすんなり飲み込めない。

 もうおわかりでしょう。前号後記に取り上げたクイズの答え。
 □□には[理屈]、〇〇には[感情]が入ります。

 統合の人格を目指す――これは理屈です。反論しようのない、正しい理屈です。
 いつも書いているように「戦争は良くない・いじめはやってはいけない」と同じ。
 誰もが「それは正しい」と言う。が、世界から戦争はなくならず、日本では(たぶん世界も)いじめを根絶できない。パワハラ、セクハラ、モラハラ、カスハラ等々いくつも列挙できる。

 もっと明確な殺人、傷害、強盗、詐欺といった法律違反の行動も日々尽きることなく報道される。最も法律を守ってしかるべき、国民の模範的生き方を示してほしい議員さんも賄賂や裏金作りに熱心で、暴露されると「知らなかった」と言ったり、「やむを得ない」とつぶやいて反省も恥も知らない……と言えば、ちと言い過ぎ?(^_^;)

 とまれ、理屈と感情を合致させることはとても難しい。これは明らか。
 ただ、統合の人格について《理屈》が説明し尽くされた――とは言えません。

 と言うのは読者の「もやもや感」の中に、これは「所詮絵に描いたモチでしかない。古今東西語られた理想の人格像に過ぎない」との思いが湧いていると想像できるからです。
 が、統合の人格は古今東西語られた理想の人格像とは違います。似て非なるものである。本号ではこの《理屈》を語ります(^.^)。
  以前「どんでん返しの結論」と見出しをつけました。『続編』最終章まずは「どんでん返しの理屈」です。



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 (^_^)本日の狂短歌(^_^)

 ○ 統合の人格 それは人間の 理想の姿というわけでなく……

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 (^_^) ゆとりある人のための20分エッセー (^_^)

 【『続狂短歌人生論』65 どんでん返しの《理屈》その1 】

 人が目指すべき理想の人格、人間像は古今東西語られてきました。
 特に宗教や哲学、倫理道徳、処世訓として理想像、人のあるべき姿が説かれた。
 大ざっぱにまとめると問題ありながら、キリスト教は愛を、仏教は慈悲と善を、イスラム教も善を教える。古代「目には目を歯には歯を」と言われたように、法律は悪を犯した者に過酷な刑罰を課した。

 古代中国では人の物を盗むと、それが子どもであっても指を一本切断した(と歴史ドラマで見ました)。殺人・放火、窃盗など凶悪犯だと死刑にされる。刑罰はしばしば人々に公開された。それは「悪を犯せば、このようになるぞ」という見せしめの意味が強かったからでしょう。

 ちなみに世界において死刑制度のある国は55ヶ国。法律上または事実上廃止している国は144ヶ国(2023年現在)。日本はもちろん前者。
 ネットで「死刑制度のある国」とか「世界の死刑制度の現状」などと打ち込んで検索すれば、もろもろの現況を知ることができます。私は死刑制度反対論者です。

 さて、このような一般的理解の中、前著と本稿『続編』において人の四タイプをさんざん解説し、ようやく最終章とも言える「統合の人格」までやってきました。
 各タイプは自分の長所――良い点を発揮して他タイプの長所を取り入れる。それこそ統合の人格である。我々は四タイプ統合の人格を目指そうではないかと。

 では、この統合の人格は古今東西語られてきた理想の人格と同じだろうか
 これが本節のテーマです。

 たとえば、ネットで「理想の人格」を検索すると、「人間性が高い人の特徴」として以下の8項目が列挙されています(Aとします)。

 A【 人間性が高い人の特徴 】

 1.相手の立場に立って考えられる 2.感謝の気持ちを忘れない
 3.責任感がある         4.向上心がある
 5.周囲から信頼されている    6.マナーや礼儀を理解している
 7.約束を守る          8.感情の起伏が緩(ゆる)やか
      (『ニューモラルブックストア』「人間性の豊かな人」)

 Aは私が提起した「統合の人格」にあたりそうだし、周囲に見かけるけれど、決して多くはない。むしろ少ない、近年少なくなったと言えそうです。

 そこで先ほどの質問。
 人間性が高い人の特徴として記されたAと、私が語った「統合の人格」は同じか違うか。お答えください。選択肢は二つ。

 (1) 同じと思う。 (2) 違うと思う。

 余談ながら、これが授業だと私は次のように展開して生徒を困らせます。
 まず「何となくでいいから、どちらか答えてごらん」と次から次に指名して(1)か(2)を答えてもらう。

 その後「これからは同じと答えた人に理由は聞かない。だが、違うと答えた人には何が違うか言ってもらう。言えなければ減点とする」と続けます。生徒の非難ごうごう必至(^.^)。
「わかった、わかった。じゃあどちらも理由を言えたらボーナス点をあげる」と朝三暮四的質問をやったものです。[と空白つぶしをやっておいて]

 答えは二の「違う」。統合の人格とは「人間性の高い、低い」ではありません
 では、どこが違うか、具体的に言える人は……さて100人中1人いるかどうか。

 以前「このような《違い》を考えるときは反対の言葉(具体例)を考えてみるといい」と書きました。「高い」の反対語は? ……低い。
 つまり「人間性の低い人」とはどのような人か考えてみれば良いのです。

 ニュー…ストアさんの同じページには「人間性の低い人の特徴」も書かれています。  それをまとめれば、上記Aの8項目が全て否定される人柄です。
 あえて列挙すると(Bとします)、

 B【 人間性が低い人の特徴 】

 1.相手の立場に立って考えられない 2.感謝の気持ちを忘れる
 3.責任感がない          4.向上心がない
 5.周囲から信頼されていない    6.マナーや礼儀を理解していない
 7.約束を守らない         8.感情の起伏が激しい

 いかがでしょう。不思議なことに(?)こちらは周囲に一人は見かけます。
 身近にいるし、路傍にいる(すなわち歩いていれば遭遇することがある)。初対面の人から否応なく対応を迫られる(こともある)。具体的にはいじめる子、児童生徒を怒鳴る先生、パワハラ、セクハラの上司、買い物にやって来たカスハラの客。あおり運転。家族、親戚に見かけるし、夫婦だと大概離婚の原因になる。百年の恋もさめるは一瞬?

 閑話休題。
 そろそろ「そうか。統合の人格とは人が目指すべき理想の人格ではないのか」と感じ始めたでしょうか。
 もう一度先の質問に戻ってさらに深掘りします。今度は(3)を追加します。

 (1) 同じと思う。 (2) 違うと思う。(3) どちらとも言えない。

 これまで脅迫・批判、傍観・受容という四タイプについて「性格」と書き、その長所・短所を解説してきました。前著の結論は「その性格を変えよう」でしたが、『続編』では変えることの難しさを縷々語ってきました。
 自分の「性格」が身についた経緯を考えると、幼い頃からの親や兄弟姉妹との愛の獲得競争ゆえであり、それは「感情」として身にしみついている。だから変えることは容易ではないと説明しました。

 そうなると、最終結論として「四タイプ統合の人格を目指そう」との主張は「人が目指すべき理想の人格」と理解されて不思議ではありません。
 だからこそ多くの読者が上記の問いに対して「同じ」と答えたはず。

 またも余談ながら、授業同様「違う」と答えると、次に「どこが違いますか」と問われることが多い。そこで無難な「わからない」とか「どちらとも言えない」と答えておく(^.^)。

 [ここで一読法的立ち止まり。「どちらとも言えない」と「わからない」は違います。上記の選択肢(3)には「わからない」ではなく「どちらとも言えない」を追加しています。なのに、ここには「わからない」がある。「なぜだ?」とつぶやいていいところです。]

 直ちに一読法「作者なぜ?」の疑問について。
 ここで「わからない」との答えはあり得ない。だから、選択肢に入れませんでした。

 と言うのは前3号で「統合の人格」について説明されています。めんどくさくてもそれをまとめればいい。
 よって、同じか違うかと聞かれて「わかりません」と即答するのは「前3号で書かれていた解説を(再読し)短くまとめてAとの違いを考えれば良いのだが、そんなめんどくさいことはしたくないので、取りあえず『わからない』と答えてやり過ごす」人です(皮肉ですよ)。

 普通、前3号分を短くまとめるなんて、そりゃあめんどくさい。しかし、本稿の場合、まとめは見出しと狂短歌がそれを示しています。

 (くどくて恐縮ながら)それを再掲すると、
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5月08日(水) 62号 四タイプ統合を目指す その2 最善の策
 〇 統合とは 強く厳しく突き放し 甘えを許し受け入れること

5月15日(水) 63号 四タイプ統合を目指す その3 次善の策
 〇 四タイプ 原性格を正しつつ 自我の成熟目指す生き方

5月22日(水) 64号 四タイプ統合を目指す その4 三善の策
 〇 統合の人格目指すその前に 補い助けあう集団
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 読み終えてどうでしょう。A「人間性が高い人の特徴」にも戻ってみてください。
 そして、「これって理想の人格じゃないなあ……」とつぶやいたなら、かなり本質に近づいています。
 三善の策なんぞ「四タイプの性格を少しセーブして苦手分野は人を頼ろう」などとありました。「そんなの理想の人格とは言えんやろ」と抗議していいところです。

 B「人間性の低い人の特徴」と比べてみても、私は「責任感や向上心を持とう」とか「周囲から信頼される人になろう」とか「約束を守ろう」などと主張したことはありません。

 かくして、上記「統合の人格とは理想の人格と同じか?」の答えがはっきりしたと思います。
 答えは同じではない。「違う」のです。
 統合の人格とは古今東西語られてきた理想の人格ではないってことです。

 当然出てくる次の疑問が「では統合の人格って一体何なんだ?」とのつぶやき。
 答えは次号――to be continued(^_^)。


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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:「統合の人格が理想の人格でないとすれば何なんだ」との疑問に関して。
 実はこれまでさんざん語ってきたことの《まとめ》であり核心部分です。
 今度は以下の穴埋め問題に挑戦してください。

 脅迫・批判、傍観・受容の四タイプについてこれまで「性格・人柄」などと書いてきたが、厳密に言うと「これは性格・人柄ではなく、人が行っている〇〇である」ということ。(〇〇は漢字二文字)

 この穴埋めにあっさり答えられた人と、さっぱりわからない人に分かれると思います。
 わからない人は、

 2023年10月25日発行『続狂短歌人生論』第26号「迷路の整理」――を

 ご覧ください。


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